昨今、経営戦略の一環として「健康経営」が注目されています。
2009年頃は、極端な長時間労働や過剰なノルマ、残業代・給与等の賃金不払いなどブラック企業の労働環境の悪化が目立っていましたが、時代の変化とともに健康経営を目指そうという動きが出てきました。
国や政府が従業員の体調やメンタル面に意識を向けるため、健康経営に力を入れ始めたのです。
今回は、健康経営を実践するにはどんなことが必要なのか、実際に取り組みをしている事例を交えながらご紹介していきます。
ぜひ参考にしてみて下さい。
健康経営とは?
健康経営とは、従業員の健康管理や健康増進を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法を指します。
1990年代にアメリカで従業員の病気やケガによる医療費負担が高騰し、経営にも影響が出ていたことから1992年にロバート・H・ローゼンが著書The Healthy Companyで「健康的な従業員こそが収益性の高い企業を作る」という思想を打ち出したことがきっかけでした。
健康管理を従業員それぞれに任せるだけではなく、企業も経営課題として積極的に取り組み、経営的な視点で考えることで組織に活性化をもたらすことができる健康経営ですが、具体的に導入するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
健康経営導入のメリット
健康経営を導入するとたくさんのメリットがうまれます。
・労働生産性の向上
・業績の向上
・優秀な人材の確保
・離職率の低下
・従業員の満足度向上
・企業イメージの向上
・従業員の心と身体の健康維持・増進
・医療費の削減
健康経営への取り組みをするメリットとして、まずは従業員の生産性向上があげられます。従業員の心と身体が健康であると、モチベーションを高く保って業務に取り組むことができるからです。
良い健康状態が続くことで労働生産性が向上し、企業の業績向上にもつながっていきます。
最近は少子高齢化の影響で働き手の人数が減っていますが、健康経営で企業のイメージアップを図り、優秀な人材の確保、そして従業員の満足度を向上させることで離職率を下げることができます。
従業員の心と身体が健康であることで病気のリスクも下がり、医療費の削減につながるでしょう。
では、健康経営に取り組む際に必要なことは何でしょうか。
健康経営に取り組む際に必要なこと
健康経営に取り組む際に必要な3つのポイントを説明していきます。
健康経営の実施と重要性を周知する
まずは、社内外に向けて健康経営を実施することを告知していきましょう。
健康経営の重要性、具体的にどんなことをするのかを伝えなければ、せっかくの取り組みが無駄になってしまいます。
特定の従業員だけでなく、従業員全員にも伝わるようにしなければ、健康経営への取り組みをしても経営効果を感じられません。
そのため健康経営への取り組みを実施する場合、必ず告知をすることで経営にも効果が表れてくるでしょう。
経営層が強くコミットする
健康経営の取り組みには、経営層が強くコミットすることが大切です。
健康経営を実施することを告知しているのに、健康診断を受けていなかったり、栄養バランスの悪い食事ばかりしている経営層がいれば、従業員も一緒にやってみようという気持ちにはなりません。
経営戦略として健康経営への取り組みをするのであれば、経営層が積極的に参加することが重要です。
健康経営を実践する組織体制を作る
従業員の健康管理を行うために、健康経営を実践する組織体制を作ります。
健康管理の担当者を置いたり、外部の健康経営アドバイザーなどに頼ったりして専門の部署を作っても良いでしょう。
健康経営には、産業医や保健師、労働組合などとしっかり連携を取れる体制づくりが欠かせません。
健康経営の取り組み事例を紹介
健康経営への取り組み事例を6つご紹介します。
住友林業株式会社
住友林業株式会社は、「人間尊重」を行動指針のひとつに掲げ、従業員一人ひとりの健康の保持増進に努め、いきいきと働くことができる職場環境づくりを推進しています。
具体的な健康経営の取り組みを3つご紹介します。
・社員の健康保持・増進への取り組み
新入社員研修で健康管理セルフケア研修を行い、健康に関するイベントの案内やコラムを発信し、健康経営の重要性を周知しています。
疾病予防の定期健康診断に予約システムを利用することで受診率100%を達成、50名以下の拠点にも産業医を選任し、組織体制を整えています。
・メンタルヘルスケア
2013年4月以降、臨床心理士がメンタル不調者へのフォローや復職支援に取り組み、従業員のみならず、従業員の家族からの相談も可能です。
メンタル休業ブックを配布し、本人は休業中の不安を解消、上司にも管理職のガイドブックを配布し、対応方法の情報を提供しています。
・ストレスチェックの活用
2015年12月に義務化されたストレスチェックを2013年から先駆けて実施、全社員を対象にWEBサイトを利用し、メンタル不調の予防に役立てています。
また、ストレスチェックの結果を利用してフィードバック研修を管理者に行い、評価や改善点を見つけていきました。
ナガオ株式会社
ナガオ株式会社は、従業員と家族の心身の健康と豊かで幸せな生活を支援し、やりがいのある職場と自己成長の場を協創して、社員と会社の持続的な相互成長を目指しています。
健康経営に向けて実施している取り組みを2つご紹介します。
・自分の健康管理に向けた取り組み
2018年にシステム上で問診や測定データ(血圧・体重等)を10分程度で分析できる機械を導入しました。
今後の健康状態の予想が自動出力されるので、将来の自分への健康に意識を向けることができ、生活習慣病予防への意識の変化が生まれます。
現在も9割以上の人が2ヶ月に1度活用をしているので、従業員からも喜ばれている取り組みです。
・運動習慣の促進に向けた取り組み「運動同好会」
企業は4大会参加費やユニフォーム作成費用を全額負担しているため、部署の垣根を超え、たくさんの人がマラソンに積極的に参加しています。
ソフトボールの活動では、地域の大会に出場したり、2年に1回は家族ソフトボール大会も実施、子どもと一緒に参加できるイベント等も企画開催しているので、従業員だけではなく、従業員の家族も楽しむことができます。
健康経営や、一人ひとりに合わせた働き方を検討していることもあるため、離職率は10年間で0.5%(寿退社、介護の都合等)と低い水準です。
株式会社弘
社員一人ひとりがしっかりと自覚をもって公私ともに計画的な賢い生き方を選択してほしい、健康についても教育が必要と考え、健康経営への取り組みを進めました。
健康経営に向けて実施している取り組みを3つご紹介します。
・コミュニケーション促進に向けた取り組み「弘リンピック」
創業10周年の節目に記念事業として、アルバイトも含めた全従業員参加の運動会を開催、それから年に1度、計12回開催しています。
全社員が集まるのはこの機会だけなので、従業員、アルバイト関係なくコミュニケーションを取り、良い関係性を築くことができます。
・健康維持に向けた取り組み「歯科検診の費用補助」
歯が痛くても「ついつい」歯医者に行きそびれている社員が多いため、歯科検診オプションの費用補助を始めました。
キッカケがあることで、虫歯や歯周病の予防にもつながり、口の中の健康を保つことができます。
・自分の健康管理に向けた取り組み
スマートパルスを導入し、出社時に今日の自分の状態を自分でチェックできるようにしました。
最初は、健康に意識が向かなかった従業員も最近は、自分のために必要なものという受け止め方をする社員も増えています。
第一工業製薬 株式会社
第一工業製薬株式会社は、「人は財産であり、人を大切にする」との思想に基づいて、従業員と向き合いながら健康経営の取り組みを進めています。
健康経営に向けて実施している取り組みを2つご紹介します。
・生活習慣病予防対策・疾病予防対策への取り組み
運動習慣の定着を目的にアプリを活用したウォーキングイベントを実施しています。
2020年度は約6割の従業員が参加し、イベントアンケートでは参加者の約7割がイベント終了後の運動継続意思を示していました。
2020年度は、腹囲に効くDKS体操(DKS EXERCISE)を作成して毎日15時に実施、生活習慣病の予防を意識する取り組みを実施しています。
・メンタルヘルス対策
eラーニングによるメンタルヘルス教育は、2020年度受講率71.8%と高く、従業員にメンタルヘルスの大切さを理解してもらっています。
2020年度は、前年度に比べて休職者数が減少しました。
2親等以内の家族が利用できるメンタルヘルス社外相談窓口の設置などメンタルヘルス対策への取り組みを実施しています。
社会福祉法人 青谷学園
全職員が毎年「いきいき宣言」をして、生活の充実と健康維持の意識づけを推進するために健康経営の取り組みを進めています。
・腰痛予防への取り組み
数年前に、腰痛の労災が立て続けに発生したことをキッカケに腰痛健康診断は年2回実施、腰痛予防体操や腰痛ベルトを配布し、着用を義務付けました。
・ガン対策への取り組み
2人に1人はがんになる時代であるため、がんについて正しく知り、がん検診を受けることが何よりも大切です。
女性の子宮頸がん検診と乳がん検診の費用の法人負担化、治療と仕事を両立することの支援に取り組み、がんになっても働き続けられる職場環境を目指しています。
ロート製薬株式会社
いつまでも健康で毎日を活き活きと働くことのできる「健康人財」であふれる会社になることを目指し、健康経営への取り組みを進めています。
・メタボリックシンドローム脱出への取り組み
従業員一人ひとりが掲げた目標に向けて生活改善に挑戦し、それに合わせて社内社員食堂と当社直営レストランで塩分・たんぱく質を考慮した特別ランチを提供しました。
食物繊維&乳酸菌配合の給茶機の導入、健康的なおやつの導入など、社員の健康サポートへの取り組みも検討しています。
食から健康を支える「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」
健康経営の取り組みとして、食から従業員の健康を支える「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」をご紹介します。
オフィスで野菜は、「オフィスワーカーに力と健康を」をコンセプトに株式会社 KOMPEITOが運営する設置型の社食サービスです。
オフィスに設置した冷蔵庫や冷凍庫に、新鮮な野菜や果物、お惣菜などを常備することで誰でも好きな時間に購入することができます。
ひとつひとつの美味しさとオフィスにいながら新鮮な野菜やフルーツが購入できる手軽さが人気で、現金またはYASAI PAYという専用アプリでの決済が可能です。
導入規模は社員10名程度の企業~20,000名規模の企業と幅広く、企業の大きさに関係なく導入でき、サービス開始から累計10,000拠点以上(2024年2月時点)と多くの企業が導入しています。
サービス継続率は99.2%と高く、始めやすく続けやすい健康経営の取り組みと言えるでしょう。
オフィスで野菜には「オフィスでやさい」と「オフィスでごはん」の2つのプランを提供しています。
・オフィスでやさい
管理栄養士が監修した新鮮なサラダやフルーツ、お惣菜を配達するプランです。
お惣菜は国産原料を優先的に使い、保存料・合成着色料不使用、毎月旬の食材を使った新商品が追加されるので、飽きずに楽しむことができます。
従業員は1つ100円~購入できるため、コンビニなどに比べてお得に購入することができるでしょう。
朝食を食べ忘れた時や外出が多く昼食を逃してしまっても、冷蔵庫から取り出してすぐに食べられるので、野菜不足になりがちな従業員の健康をサポートすることができます。
対応エリアでは配達員が直接お届けし陳列や回収を行いますが、対応外エリアではクール便でのお届けになるため企業でのフォローが必要です。
・オフィスでごはん
管理栄養士が監修した無添加や国産食材にこだわったお惣菜を配達するプランです。
日持ちは3か月以上、余分な塩分や糖分を使わずに冷凍だからできる美味しさを感じられます。
主菜、副菜、ご飯などの種類も豊富で、毎月30種類をお届けし、毎月25品の商品が入れ替わるため飽きる心配も必要ないでしょう。
全国対応可能で、クール便でのお届けになるため企業でのフォローが必要です。
2ヶ月間のトライアルもあるので、ぜひ一度オフィスで野菜のサイトをご覧ください。
まとめ
いかがでしたか?健康経営の取り組み事例・実践する時に気をつけるポイントを解説しました。
経営者が本気で取り組み、実施することで経営にも効果が表れることでしょう。
導入している実例を参考に、ぜひ健康経営への取り組みを始めてみてください。
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