独特の香りと歯ごたえが魅力的なセロリ。スティック状に切ったセロリに、マヨネーズをつけて召し上がるのを醍醐味のひとつとしている方もいらっしゃることでしょう。セロリには食物繊維やビタミンCが豊富に含まれており、便秘がちな女性を中心にはもってこいの食材となっています。

そんなセロリですが、実は種こそ滋養に富んだものであることはご存知でしょうか？こちらでは、セロリの種の成分、健康効果および調理法についてお伝えします。

出典：food.foto

■セロリの種の成分

セロリの種は、主に揮発性油、フラボノイド、クマリン、リノレン酸、オメガ6脂肪酸によって構成されています。フラボノイドは抗酸化物質のひとつであり、細胞をダメージから守る働きがあります。

■セロリの種は何千年も前からさまざまな病気の治療に用いられてきた

医療用としてのセロリの種の歴史は古く、東洋では何千年も前からさまざまな病気の治療に用いられてきました。例えば、インドの伝統医学（アーユルヴェーダ）では、風邪やインフルエンザ、うっ滞、消化不良、関節炎、肝臓・脾臓の病気の改善にはセロリの種が有効であると考えられてきました。

今日においても、セロリの種は利尿薬として使われているほか、関節炎や痛風、筋肉のけいれんの症状を和らげたり、高ぶった神経を鎮めたり、血圧やコレステロール値を下げたりと、人々の自然治癒力の向上のために貢献しています。
出典：University of Maryland Medical Center

歴史的に見れば医用的価値の高いセロリの種でありますが、人間を対象とした臨床試験を通じてこれらの治療効果が立証されているわけではなく、その治療効果を疑う科学者が少なからずいることは否定できません。

■セロリの種は蚊を寄せつけない？

セロリの種をめぐっては、もうひとつ耳寄りな情報があります。

注目に値するセロリの種の健康効果を指摘したのは、タイのチェンマイ大学の寄生生物学研究チーム。セロリの種から搾り出した抽出液（ヘキサン、ジクロロメタン、メタノール）を皮膚に塗布したところ、ヘキサンを塗布した場合において、3.5時間にわたり痒みが抑えられ、最も高い蚊よけ効果が確認されました。また、抽出液を塗布後、不快な症状や重い症状が見られなかったことから、市販の虫刺され用の薬としての開発を促しているほどです。
出典：http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/15228722

これが日本人にも当てはまるかどうかということになると疑問が残りますが、同じアジア人ということで生物学的に似ていますし、毎年蚊によく刺されて困っているのであれば、一度試してみる価値はありそうです。

■場合によっては、セロリの種を摂取することで悪い影響を受けることも

セロリの種が持つ効果は良い面のみではありません。以下に該当する人が摂取すると、重篤な症状を招く恐れがあります。

・妊娠している女性

・腎臓の病気を患っている人

・低血圧の人

・樺花粉アレルギーの人

なお、妊娠している女性がセロリの種を摂取した場合、子宮内出血、子宮内の筋肉の収縮により、流産へとつながる恐れがあります。

■セロリの種はどうやって食べる？

セロリの種が持つさまざまな健康効果を見てきたところで、次に疑問に上がるのがどうやって調理するのか？です。

セロリの種は香りが強く、好き嫌いが分かれるかもしれませんが、ピクルスやスープ、サラダ、肉料理の上からパラパラッと振りかければ、料理の味のアクセントとして重宝します。特に、ナス、卵、魚、エンドウ豆、じゃがいも、トマトとの相性が抜群ですので、これらの食材と一緒に調理するとよいでしょう。

追記：

今回のセロリの種に限らず、薬草で健康効果を得ている人々が多数いる反面、こうした東洋の伝統医学に対して批判的な医師や専門家が少なからずいるのも事実です。また、ハーブの種と別の薬草との相互作用により、良くない状態を招く恐れもあります。上記の病気や症状の改善のためにセロリの種の導入をお考えの方は、必ず主治医と相談のうえで、日々の食生活に摂り入れるようにしましょう。

（文・大澤法子）