一般に、血液サラサラ効果があると言われている玉ねぎ。血液のドロドロ状態が続くと、血管が詰まり、その結果動脈硬化などの病気が引き起こされてしまいます。
もちろん、玉ねぎの効能は血液をサラサラにする効果のみではありません。そして今回、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴにて開催された第97回内分泌学会において、血液をサラサラにすること以外で、玉ねぎの新たな側面が見出されました。
出典:food foto
■そもそも、「玉ねぎ=血液をサラサラにする」という俗説は本当か?
長らくの間、その俗説に対して否定的な見解を示していた研究者もいたのも事実ですが、近年実施された日本動脈硬化学会の学術総会にて、玉ねぎの血液サラサラ効果を立証する研究が発表されており、その効果は医学的に認められています。広島大学の東幸仁教授らが出した見解によれば、
“玉ねぎを継続的に摂取することで、食後の血管内皮機能が改善され、血液サラサラ効果が高まる”
出典:タマネギエキス継続摂取による食後の血管内皮機能改善効果を確認
とのこと。毎日どのくらいの量を食べれば血管内皮機能が改善するのかについては不明ですが、無理のない程度で続けるのがよいと言えるでしょう。
■玉ねぎは血糖値コントロールに有効
そして、玉ねぎのさらなる効果として、糖尿病予防効果に着目したのがナイジェリアのデルタ州立大学のAnthony Ojieh医師ら率いる研究チームです。意図的に糖尿病を引き起こした糖尿病マウスを合計3つのグループに振り分けたうえで、糖尿病治療薬「メトホルミン」と、それぞれ異なる量の玉ねぎの抽出成分(200 mg/kg/日、400 mg/kg/日、600 mg/kg/日)を与えるという試験を実施しました。同時に、糖尿病を患っていないマウスに対しても、メトホルミンや玉ねぎの抽出成分を与えました。さらに、玉ねぎの血糖値抑制効果を確認するために、メトホルミンも玉ねぎの抽出成分も与えない糖尿病マウスグループ、非糖尿病マウスグループをそれぞれ1つずつ用意し、比較検討を行いました。
その結果、400 mg/kg/日または600 mg/kg/日の玉ねぎ成分を与えるという行為を2回行っただけで、糖尿病マウスの血糖値がそれぞれ50パーセント、35パーセントも低下しました。
「玉ねぎ成分が血糖値減少に対してどのように作用したか?」という具体的なメカニズムについては今のところ明らかにされていませんが、今後の研究過程を経てそのメカニズムが解明されていくことでしょう。
■さらに、コレステロール低下作用も
糖尿病患者は血糖値のみならず、総コレステロールも高めであるケースが多いですが、今回の臨床試験を通じて、糖尿病マウスにおける総コレステロールの低下も確認されています。血糖値の場合と同様、玉ねぎの抽出成分の付与量が多い2グループにおいて、その傾向が強く現れていました。
一方で、非糖尿病マウスの体重が平均して増加するという興味深い結果も得られました。ちなみに、糖尿病マウスでの体重増加は確認されませんでした。
以上の結果を受け、研究者らは、
“玉ねぎ自体のカロリーは低いが、玉ねぎには食欲増進作用があり、それが非糖尿病マウスの体重増加へと結びついためではないか”
引用元:Onion extract may improve high blood sugar and cholesterol
という見解を示しています。
追記:
健康増進のためにも玉ねぎの積極的な摂取を心がけたいところですが、食べ過ぎには十分気を付けたほうが良さそうです。
糖尿病予備軍を含む糖尿病患者の一般的な傾向として、血糖値のみならず、総コレステロール値も高めであるケースが多いです。糖尿病患者および糖尿病予備軍の方は、玉ねぎを中心としたレシピを検討してはいかがでしょうか?
(文・大澤法子)