8月上旬、アメリカではキュウリによるサルモネラ菌感染で世間を賑わせました。米国疾病予防管理センター(CDC)によると、今回の感染症を引き起こした原因は、メキシコから輸入されたキュウリだそうです。2015月9月29日現在、サルモネラ菌株に感染した人は35州で732名に達し、アリゾナ州、カリフォルニア州、オクラホマ州およびテキサス州よりそれぞれ1名ずつ死者が出ています。ここでは、キュウリなどの野菜によるサルモネラ感染についてお話ししたいと思います。
出典:food.foto
■サルモネラ菌とは?
サルモネラ菌の数は2,500種類以上にも及び、あらゆる動物の腸管内に存在しています。ちなみに、チフス菌もこれに含まれます。サルモネラ菌は家畜などの糞便に付着しており、農業用水や堆肥などを介してサルモネラ菌に感染するというケースが多いようです。
よく言われるのが卵によるサルモネラ菌感染ですね。家畜のなかでも鶏のサルモネラ菌検出率が最も高いことから、そういった通説が流れるようになったのでしょう。鶏舎内では、多くのサルモネラ菌汚染鶏が飼育されています。サルモネラ菌に感染した鶏は、感染していない鶏と外見上変わらないため、両者の区別が難しいのが現状です。
サルモネラ菌を含む農業用水や堆肥を使って野菜を栽培すれば、当然のことながら野菜にもサルモネラ菌が付着します。そして、それを食べた人間はサルモネラ菌に感染します。このたびアメリカで流行したキュウリによるサルモネラ菌感染はこういった経緯で発生したものと思われます。
■キュウリ以外で気を付けなければならない野菜は?
農業用水や堆肥を使って栽培している限り、あらゆる野菜にサルモネラ菌が付着している可能性があります。なかでも注意が必要なものと言えば、可食部のほとんどが土と接触するレタス、キャベツ、トマト、キュウリ、ネギではないでしょうか。
2010年、農林水産省によって発表された『生食用野菜(レタス・キャベツ・トマト・キュウリ・ネギ)における腸管出血性大腸菌及びサルモネラの実態調査結果』(ただし、実際の調査は2007年および2008年に実施)によると、国産の生食用野菜の栽培に使用される試料からはサルモネラ菌も腸管出血性大腸菌も検出されなかったと記載されています。一部の試料より糞便汚染の指標となる大腸菌が検出された点が気になるところではありますが、とりあえず国産の野菜でサルモネラ菌に感染する可能性は低いと言えるでしょう。
追記:
日本産のキュウリについては比較的安全であり、サルモネラ菌感染の心配はなさそうです。念のため、調理の際によく洗っておくと、より安心して召し上がれます。
(文・大澤法子)