男性を中心に、ランチをコンビニ弁当や外食チェーンの食事で済ませているという人は多いことでしょう。ところが、コンビニ弁当や外食チェーンの食事には塩分のみならず、肥満と関係のある糖質や脂質が豊富に含まれています。毎日そのようなものばかり食べていると、血中の酸化ストレスが増幅され、将来深刻な病気に罹る可能性が高くなってしまいます。そんななか、身体の酸化ストレスの多い人にオススメのアイテムがイランのテヘラン大学の研究チームによって検討されました。
■栄養価が高いのは、生のトマトよりもトマトジュース?
テヘラン大学の研究チームによって注目されている気になるそのアイテムとはトマトジュースです。「トマトが赤くなると医者が青くなる」という諺があるように、トマトは非常に栄養価の高い食材です。トマトの色素成分であるリコピンが身体に作用すると、活性酸素が除去され、がんや生活習慣病の予防へとつながるほか、疲労回復効果、高血圧の改善効果、便秘の解消効果が高まります。以前『【野菜の新常識3選】ノンオイルドレッシングは本当にヘルシー?』の記事でも紹介した通り、トマトは加熱処理を行うことで、生のトマトに比べ栄養価がグンと上がります。
■肥満の人がトマトジュースを20日間飲み続けた結果、血液の酸化バイオメーカーが改善
トマトジュースが身体に良いとは言え、過体重または肥満の人でも優れた健康効果が得られるという保証はありません。というのも、肥満の人を対象にした臨床データが乏しいからです。
そこで、テヘラン大学の研究者らは、「過体重または肥満の人がトマトジュースを飲んでも健康効果が得られるかどうか?」を確認すべく、シラーズ大学医学部に通う過体重またはBMIが25以上の肥満の女子学生64名を対象に臨床試験を実施。1日330 mlのトマトジュースを20日以上飲み続けるグループと、対照グループとして水を飲むグループに分けたうえで、トマトジュースまたは水を飲む前と飲んだ後では、赤血球抗酸化酵素(スーパーオキシド・ジスムターゼ(SOD)、グルタチオン・ぺルオキシダーゼ(GPx)、カタラーゼ(CAT))の数や、酸化ストレスに対するバイオマーカーである血清マロンジアルデヒド(MDA)の数、さらには血漿総抗酸化能(TAC)の数値にどのような変化が見られるのかを観察しました。
その結果、トマトジュースを飲み続けたグループでは、トマトジュースを飲む前や対照グループと比べ、血漿TACの数値が高く、赤血球抗酸化酵素の数が増加したことが明らかに。一方、血中の酸化ストレスに関わる血清マロンジアルデヒドの数値は減少しました。ただし、こうした変化が見られたのは過体重の女性のみであって、BMIが25を上回る女性では有意な結果は得られませんでした。
今回の研究成果については、ヨーロッパ臨床栄養代謝学会誌『Clinical Nutrition』の2015年10月号に掲載されることになっています。
追記:
BMIが25を上回っている人はトマトジュースを飲んだだけで体質改善を図れるとは言えず、運動を行うなど別の角度からの努力が必要です。BMIが25を過ぎていないけれども、体型が気になるという程度であれば、毎日のランチにトマトジュースを添えるだけで、健康的になれるかもしれません。早速、今日のランチから「弁当+トマトジュース」を実践してみてはいかがでしょうか?
(文・大澤法子)